[2014.07.16] 「マレーシア・トゥルーリー・アジア夏期学校」派遣学生候補決定!
[2014.10.27] 「マレーシア・トゥルーリー・アジア夏期学校」派遣学生レポート発表!
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[2014.10.27] 「マレーシア・トゥルーリー・アジア夏期学校」派遣学生レポート発表!
私がその国と“出合った”のは一年前、大学一年の夏休みでした。日本から欧米より近場で行きやすく、物価も安いことから一人旅で東南アジアの国々を訪れ、見て回った国のひとつがマレーシアでした。今回、マレーシア夏期学校(以下、マレーシア夏期学校)に参加するため自分にとって二度目のマレーシア滞在となりました。そこで、私がこの国のどこに魅かれ、なぜまた訪れたか、マレーシア夏期学校の三週間という限られた時間で経験した現地大学での講義やホームステイ、各種文化体験を通じて何を感じ、印象に残り、学んだかを述べていきたいと思います。
マレーシアに着いて一番に感じたことは、現地の人や街が持つ熱気でした。日本ではあまり感じることができないマレーシア全体が持つエネルギッシュさに私は魅かれています。空港に降り立てば、お世話になったエアアジアの真っ赤な機体がずらりと並び、街に行けば建設中の建物がいくつもあり、郊外に出れば広大な建設予定地が広がっていました。そして、その街づくりもマレーシアの行政都市のプトラジャヤに代表されるように、都市計画に基づいて建設された美しい景観を持ち高層ビルなども多く、これから新たに開発し発展していく様を間近に感じることができました。また、道行く人々を見ても、メーターがあるのに言い値でしか乗せてくれないタクシードライバーや物を売ろうとやたらふっかけてくる露店のおじさんまでみんな私にはたくましく映りとても新鮮でした。しかし、少し道端や路地裏に目を向けると物乞いや小さな子供を連れて座り込んでいる母親も多く、急速な経済発展で街並みがどんどん変わっていく中で置き去りにされてしまうものもあるマレーシアの現実を垣間見た瞬間でした。
次に、マレーシアにおいて一番印象に残ったのはその多様性です。マレーシアは、マレー系67%,中国系25%,インド系7%,先住民族1%という人口比で構成された多民族国家です。日本のようにほぼ単一民族の国家で生活してきた私にはたくさんの驚きと発見があり、マレーシアだからこそ体験でき、何度訪れても変わらない感動を与えてくれる大きな要素だと思います。例えば、街を歩けば頭にスカーフを巻いた女性やサリー姿の人、中国語の新聞を読んでいる人も目にすることができ、街の案内板にも複数の言語が使われており、中には日本語が使われている場所もありました。そんな中で、私が一番マレーシアの多様性を感じたのは、食に関してです。マレー系、中国系、インド系にそれぞれ味も見た目も異なる特徴を持った料理があり、マレー料理の辛さに悶絶し、中国料理の優しさに触れ、インド料理のスパイシーで刺激的な味に感動したことは一生忘れません。そして、それらの料理が手軽に味わえるマレーシアの屋台には、いくら感謝してもしきれません。
また、宗教がマレーシアの多様性に及ぼす影響が大きいことに現地で実際に生活してみて気づきました。マレーシアの国教はイスラム教です。私自身、イスラム教についてほとんど知識を持たず、連日報道されているニュースからのイメージしかなく、まったくの未知であるけれど、信仰する人は世界で16億人もいます。その影響力を考え世界に目を向けた時、必ず付き合っていかなければならない相手だと思っていました。実際、マレーシアを訪れてみると街のあらゆる所にイスラム教の礼拝所であるモスクがありました。タイル張りのシンプルなデザイン、中央のドームや高くそびえるミナレットは印象的で、その美しい光景に心打たれました。
また、スーパーマーケットに行けばイスラム教で禁止されている原料を使っていないという証である「ハラール」認証がついた食品が並べられ、街の居酒屋に行っても中華系や海外からの旅行者ばかりでマレー系の人はほとんど目にすることはできませんでした。このように、イスラムの教えが生活の隅々にまで行き届いている光景は大変興味深かったです。そして、マレー系が多数を占めるイスラム教国でモスクを見るのと同じくらい、他のあらゆる宗教を目にすることができました。モスクと対称的な極彩色に彩られたヒンズー教の寺院や、日本のお寺よりカラフルでより中国を感じた仏教寺院、世界遺産にも登録されているマラッカのシンボル的な存在だったキリスト教会。異なる宗教を信仰する人たちのそれぞれの文化も感じることができるマレーシアはやはり多様性にあふれる寛容な国だと改めて実感しました。
そして、そんな多様性に溢れる国マレーシアで本当によく目にしたのが国旗であり、それぞれの民族、文化、宗教をお互い尊重しているだけでなくマレーシアという一つの国としての団結なのだと感じました。プログラム期間中、ちょうどマレーシアの独立記念日にあたる8月31日にクアラルンプール市内にある独立広場のイベントに行く機会がありました。日本で国の独立を祝うパレードやたくさんの人が国旗を持ち集まる光景を見たことがなかったので、マレーシアの人々が盛り上がっている様子がとても新鮮に感じるとともに、日本のことを少し寂しく思いました。
次に、マレーシアの人々もまた、寛容で温かい人が多いように感じました。三週間のプログラム中に一泊二日という本当に短い期間でしたが、周りには田畑と森といった自然しかない田舎に行って現地の家庭にお邪魔させていただく機会がありました。そこで出会ったおばあちゃんとのマレー語のみの交流、自分の身振り手振りのみの会話にも笑顔で付き合ってくれ、何が言いたいのか汲み取ろうとしてくれました。私たちが学んだ現地の大学で知り合った学生も私の拙い英語に真剣に耳を傾けてくれ、理解しようと努力してくれました。そんな優しさにあふれた温かい人がマレーシアには多かったです。
そんな優しさに触れていて思ったのが、コミュニケーション能力の重要性です。私は現在大学で航空宇宙工学を学んでいますが、その専門性があってもそれを他の人に伝える術を持たないことに気づき、コミュニケーションをとっていくのにまず英語が最低限必要だと改めて思い知らされました。マレーシアで知り合った学生たちは、マレー語と英語に加えて中国語なども話せる方が多くいて、普段から複数の言語に触れる機会が多くある環境が少し羨ましくも思い、日本で日本語だけに甘えている自分に非常に危機感が生まれました。さらに、相手のことを少しでも知ろうとしたときに言語がもつ役割は大きいと改めて感じました。現地で出会った学生の中には、日本に興味がある方も多く、たびたび日本について尋ねられることがありました。しかし、片言の日本語や知っていることを少しでも交えて話してもらうと相手との距離が近くなるのを感じ、とても親近感が湧きました。そのように、相手のことを少しでも多く理解しようとした時にその入り口となる共通の言語(往々にして英語)に加えてプラスアルファが必要になってくることを実感しました。
三週間という限られた時間の中、マレーシア夏期学校では‘‘見て・聞いて・触れて‘‘五感をフルに使って体験させていただきました。それは、私にとってたくさんの学びがあり、気付きがありました。そして、それによってまた違った価値観を自分に与えてくれて、今までとは違う視点で世界をみることができるようになったと思います。また、マレーシアの魅力に気付いたのと同時に日本の魅力にも気付けた三週間でした。
2020年は日本とマレーシア双方にとってとても意味がある大切な年です。マレーシアは2020年に先進国の仲間入りを目指し発展・開発を進め、日本は2020年に東京オリンピックが控えています。私にとってもこれからの6年は一番濃い重要な期間だと思っています。今回得た経験が価値あるものになるように努力していこうと思います。また、2020年のその時にもマレーシアを再訪できたらと思っています。
私にとって思いがけない出会いや発見にあふれた三週間でした。何かの縁で出会えたことに感謝しながら、今回の体験から新しく得られた道を進んで行こうと思います。マレーシア夏期学校で共に学びを深めたメンバー全員から毎日刺激をもらい、色々な場面で助けて頂きました。最後に、このような貴重な機会を設けて下さったすべての人に感謝したいです。ありがとうございました。Terima Kashi!!!