参加学生レポート

Look Malaysia Program 2016

亜細亜大学 国際関係学部 国際関係学科 2年
内田 昌宏

<違和感を持ち始めていた頃に>

コミュニケーション方法は言語だけではないと学びました

今回のマレーシア研修は10日間という短い期間でしたが、その10日間は中身の濃いものとなりました。日本から出たことのなかった私にとって、多くの驚きがそこにはありました。時差はわずか1時間であるのに気候は日本とは正反対であり、人種もマレー系、中華系、インド系など様々で、日本では見ることのできない光景でした。
 このプログラムに参加したのは大学の先輩にこのプログラムを紹介されたことがきっかけでした。今まで日本から出てみたいと考えていたので絶好のチャンスであると思いました。なぜ日本から出たかったのか、日本は島国であり、日本の文化は周りに重宝されています。そして自身の文化を他人に侵されることにすごく敏感であると感じます。さらに多くの日本人は海外に目を向けようとはしません。私の友人の多くが日本で一生過ごすからと言い、英語の勉強をしません。異文化の理解もしようとはしません。しないというよりはむしろ異文化に触れたことがないために彼らがどういう人たちであるのかを理解する機会がないのだと思います。そういう日本人ならではの考えに違和感を持ち始めたのは、大学生になり、留学生の友人ができてからです。そこで、マレーシアという国に目を向ける機会があり、このプログラムに参加しました。

<マレーシアでの気づき>

スポーツを通して友好を深めました
 スターバックスで何気なく買ったボトルの飲料水に、ハラルマークが書いてありました。日本ではあまり見かけませんし、このマークに意識を払ってもいません。私も一緒にいた友人に言われるまで気づきませんでした。意識せずに買った飲料水にハラルマークがあったことに驚き、この国はそれぞれの文化、宗教、食を尊重しているのだと実感できた瞬間でした。この国の素晴らしいところは、それぞれの文化を尊重していることにあると思います。宗教の違う人たちがそれぞれを理解し、違いを受け入れているという点は、マレーシアという国の寛容さに現れていると思います。今回多くの大学へ行き授業を体験しましたが、1日の交流の中でとても仲良くしてくれ、後日、私をドライビングに連れて行ってくれたり、その後も連絡を取り合ったり、とても温かい人であると感じました。

ペナンの歴史を学びながらジョージタウンを散策
 日本では人の付き合いは常に一定の距離があり、その場で仲良くなってもその後も連絡を取り合うということは多くないと思います。さらに相手が外国人ならなおさらその場限りの付き合いになり得ると思います。
 日本では宗教について多くがあまり意識せずに過ごしています。あなたの宗教は?と聞かれても思わず顔を見合わせ戸惑ってしまう人が多いと思います。それだけ日本人は宗教に関して無関心な部分が多いと思います。それだけに宗教の重大さも理解しきれていないのではないかと、マレーシアのスタバでの経験を通して感じました。異なった民族同士が理解し合うことで、それぞれの民族が共存しやすい環境を作り上げているのがマレーシアであるとわかりました。

<日本を外から見て>

一番高いタワーを作る。チームワークの大切さに気がつけました
 マレーシアに来てみて初めて日本と他の国とを比較できるようになり、日本を客観的に見ることができるようになりました。そして日本の住みやすさを再確認させられました。交通の整備に関しても、日本はとても安全で利用しやすいと感じました。そして最も実感したのが飲み物です。水だけでなく他のあらゆる飲み物にも困りました。日本には自販機が多くあり水はすぐに手に入るものですが、マレーシアではそうはいきませんでした。
 マレーシアに行きはじめて日本の良いところを理解できましたが、それとは反対にマレーシアから学ぶ点も見えてきました。マレーシアは2020年までに先進国入りを目指そうという「WAWASAN2020(VISION2020)」を掲げています。日本も同じく東京オリンピックに向け、日本独自の文化を世界に発信しようと試みています。そして日本も観光立国を目指しています。そしてその観光立国の先輩にあたるのがマレーシアであると思います。

現地の授業はとても積極的で刺激的でした。
 日本がマレーシアに学べることは、マレーシアがどのようにして現状にいたったのか、であると思います。グローバル化が謳われる中、マレーシアのグローバルな一面は大きなヒントとなると思います。マレーシアに10日間行き、現地の人たちと交流していく中で、自分が日本人であり、外国人である。ということを感じたことはありませんでした。マレーシアはそれだけ多種多様な人や物、文化が受け入れられている国です。
 今後の日本を考えてみても日本の重んじている「おもてなし」が、相手にとってどれだけ「おもてなし」に値するかを知る必要があると思います。実際、振り返ってみると、マレーシアの現地の人たちの「おもてなし」の感覚と私の感覚は違っていると感じます。しかし現地の人の「おもてなし」を違和感なく受け入れている自分もいました。10日間でしたがすっかりマレーシアという国の雰囲気に呑み込まれ、馴染んでいました。マレーシアはそれだけ住み心地のいい国だと思います。

<マレーシアが抱える課題>

人生は歯磨き粉のチューブの様だ
 今回のプログラムでマレーシアの素晴らしさを知りました。そしてそれとは逆に課題も見えてきました。先述したようにマレーシアは2020年までに先進国入りを目指し発展している国です。しかし街中を歩いていて気になったのが、高速道路でもないのに80キロは出しているであろう車の運転マナーや、車社会であるにもかかわらず交通整備が追いついていないという点です。、そして最も気になったことは、朝から多くの人が公園で寝ていることや、ホームレスが多く目につくことです。日本では朝に公園に行って見るのは、ランニングをしている人でしょう。彼らは何をしているのか、職はあるのかとても気になりました。国が経済的に豊かになり先進国並みの経済力になったとしても、法整備の未熟さ、国民一人当たりの所得、環境問題等々、先進国の水準に追いつくのか見当がつかないというのが本音です。

<見えて来た日本の課題>

伝統的な結婚式に参加
 一方、日本はこれからのアジアの発展に向け、もっとオープンな国になる必要があると感じました。これまでの日本は、独自の文化が他の多くの国にも評価をされ、MADE IN JAPANは重宝されてきました。そのため日本以外の国に頼ることなく独自の道を歩み、独自の制度を持っています。しかし国際化が進む中で、日本の多くの制度が機能していないのは明らかです。
 中でも教育制度は大きな問題だと思いました。マレーシアの多くの学生は少なくとも二か国語以上は話せます。そのうちのひとつは英語です。それに対し日本では、英語が話せないのは日本が島国だから「しょうがない」という理由で片付けます。教育を「しょうがない」の一言で片付けるのはどうかと感じます。日本人は周りの国が日本を褒めてくれていることである意味「天狗」になり、世界で一番の国だと思いがちです。そのため「このままでいい」。と考えているかもしれません。しかし一度海外に出て、外から日本を見たときに気づけることは数多くあると思います。いい点と悪い点どちらが多いかではなく、いい点と悪い点を認識し、それらをどのように扱うかが重要だと思います。

<最後に>
 今回のプログラムでは現地の学生との交流の中で刺激を受けた点も多くありました。それと同時に一緒に参加した日本人学生の方々からも多くの刺激を受けました。 日本ではこのように他の大学の生徒と交流をする機会は限りなく少ないです。さらに志の高い学生ばかりで、研修中に圧倒されることなどもありました。
 このような人たちと過ごす機会を与えてくれたLook Malaysia Program関係者の方々に御礼申し上げます。 10日間本当にありがとうございました。



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