参加学生レポート

ペナン春期学校での学びを通して

東洋大学 国際地域学部 国際地域学科3年
荒幡 樹里

<マレーシアの多様性を体感したい>

Olympia Collegeでのランチ

ペナンで過ごした10日間は非常に内容の濃い刺激的な日々であり、あっという間に終わってしまいました。私にとって初めてのペナン、初めてのマレーシアで不安や緊張もありましたが、6つの大学でのプログラム、ホームステイ、企業訪問などを通して、毎日新たな発見や学びを得ることが出来ました。
 そもそも私がこのペナン春期学校に参加したいと考えた理由は、アジア諸国と深い関わりを持ちたいと考えていたためです。同じアジアに住む日本人としてアジア諸国のことをよく知り、互いの文化を共有したいという考えがありました。また、マレーシアの多様性を体感したいと考えていたのも理由の一つです。日本の暮らしからは想像の出来ない多様な言語や宗教などの文化が共存しているマレーシアの暮らしに魅力を感じ、どのようにして異なった価値観や文化を認め合い生活しているのかを実際に現地で体感したいと思いました。

<マレーシアの多様性>

Olympia Collegeの学生と
 私たちがプログラム中に宿泊先としてお世話になったSEGi Collegesの寮では、初日からマレーシアの多様性を感じさせられました。 私たちはインド系と中華系の学生が暮らしている部屋でお世話になることになりましたが、派遣生の女子メンバーと現地の学生、合わせて15人程の大人数が同じ部屋で生活すること、さらにそれぞれの文化が異なることに、非常に戸惑いました。
 また、シャワーやトイレなどの日本とマレーシアの文化の違いも多く、不安が多かったです。しかし、数日経つとその不安もなくなり、自然とマレーシアの生活に合わせられるようになっていました。時々、深夜でも部屋が騒がしいこともありましたが、日中の濃いプログラムの疲れで気にせずに眠りについていました。多少の騒がしさも気にならなくなるくらい、初日は戸惑っていた大人数での生活も、気付けば居心地の良いものになっていました。

TARCの学生とビーチで
 マレーシアの多様性は食事からも強く感じられました。プログラム中は、マレー系、中華系、インド系の様々な料理を体験しました。インド系の料理であるバナナリーフは手を使って食べるそうですが、慣れていない日本人の私にとっては難しかったです。コーヒーや紅茶などがとにかく甘いことも印象的でした。また、観光客よりも地元の人が多いような屋台での食事も経験することができ、マレーシアの人々の暮らしを身近に感じることが出来ました。
 企業訪問の際には、食堂にハラール専用のエリアが設けられていることに驚きました。日本ではそのようなものはまず考えられませんが、多民族国家であるマレーシア特有の文化を感じることが出来ました。

<ペナンの街と文化>

ジョージタウンにあるモスク
 ペナンの中心部地区であるジョージタウンでは、マレー系、中国系、インド系のそれぞれの文化が共存しています。イスラム教、仏教、キリスト教などそれぞれの寺院や教会もあり、マレーシアにいるのに中国やインドにいるような不思議な感覚になりました。建築物は色や建築様式が特徴的であったり、ウォールアートがいたるところにあったりと、印象的なものが多く歩いているだけでわくわくしました。
 マレーシア全土とペナン島を一望することのできるペナンヒルにも、寺院やモスクがありました。ケーブルカーで丘へ上がっていく際は綺麗な景色と多くの緑を感じることができました。丘の上にも様々な植物があり、動物もいて、ジョージタウンの街並みとはまた違うペナンの魅力が感じられました。

ジョージタウンにある中国寺院の前で
 SENTRAL Collegeではプラナカンカルチャーについて学びました。プラナカンカルチャーは欧米列強による統治下にあった東南アジアの各地域に移住してきたマレーシアに根付いた、中華系移民の子孫の文化のことです。今までマレーシアの歴史について学ぶ機会はなかったので、実際にマレーシアでマレーシアの歴史を学ぶことが出来たのはとても良い機会でした。また、マレー系と中華系の文化と料理法が融合して生まれたニョニャ料理を食べることも出来ました。プラナカンカルチャーについて学んだ上で実際にニョニャ料理を食べるというのは観光ではなかなか出来ないと思うので、よりマレーシアについて知ることの出来る良いきっかけとなりました。

<各大学でのプログラム>

バナナリーフ
 Olympia Collegeでのランチでは、ホスピタリティを学ぶ学生が実際に配膳係をしていました。学内でそのように学びを実践出来る場があることは、学生にとって非常に良いものだと思います。このようなものは日本ではあまりないと思うので、ホスピタリティの分野に限らず、専門的に学んでいることを実践できる機会がより増えると、さらに興味や関心が広がるのではないかと思います。
 KDU University Collegeでは、コミュニケーションやリーダーシップに関するアクティビティをしました。グループに分かれキャンパスを回りながらミッションをこなしていったり、頭を使って出されたお題のものを作ったり、どれも楽しいものばかりでした。日本の大学では座学がほとんどでこのような授業は受けたことがなかったのでとても新鮮でした。

ペナンヒルにあった寺院
 TARCでは、バスケットボールやビーチバレーボールなどのスポーツを通して英語を学びました。学生は非常にフレンドリーで優しく、私たちにアドバイスをしてくれたり、試合を盛り上げてくれたりしていました。英語を学ぶといっても、机に向かって勉強するだけではなく、スポーツのように何か一つのことを誰かと一緒にやることで、自然と英語を使ってコミュニケーションを取ることが出来るようになると感じられました。
 DISTED Collegeでは、実際に施設へ行きボランティアを行いました。ハンディキャップを持つ子供たちと関わるのは今回が初めてだったので、どのように接すれば良いのか最初は戸惑いました。しかし、言葉でのコミュニケーションは上手く取れなくても、一緒にゲームをする中で笑い合い、子供たちの笑顔を見ることが出来るだけで楽しい気持ちになれました。日本ですらしたことのない、本当に良い経験が出来ました。

<ホームステイ体験>

ホストファミリーと
 ホームステイでは、私は小さな子供がいる家庭でお世話になりました。子供たちは英語があまり話せないので、言葉でのコミュニケーションは取れませんでしたが、一緒に折り紙を折ったり、子供たちがマレーシアの伝統的なゲームを教えてくれて一緒に遊んだりしました。とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。
 また、ホームステイでお世話になった村の方々は、住民同士の関係性が密接だなと感じました。住居と住居の距離が近いということもありますが、近所の家庭の子供たちが気軽に他の家庭の家で遊んでいたり、子供たち同士が外で遊んでいたりする光景が多く見られました。このような住民同士の密接な関係は日本では少なくなってきていると思います。

施設でのボランティア
 このホームステイを通して日本とマレーシアの生活様式の違いが強く感じられ、日本の地域コミュニティや自分自身が住む地域の暮らしなどを改めて考えるきっかけとなりました。ホームステイは1泊2日という短い期間でしたが、日本とは異なる形式の住居で一晩を過ごしたり、マレーシアの伝統工芸であるバティックの色塗り体験をしたりと、貴重な経験をすることが出来ました。また、学生だけでなく様々な年代の方々と交流することが出来たことも、ホームステイならではの経験だったと思います。

<日本とマレーシアの関わり>

寮近くのランドリーへ行ったとき
 企業訪問では、東レ株式会社の工場に伺いました。海外で働く日本の方のお話を聞けることはめったにないので、とても貴重な機会でした。今後マレーシアに進出する日系企業は一層増えると思うので、マレーシアと日本の繋がりがより深くなっていくのではないかと思います。
 また、DISTED Collegeの学生の中には、日本について学んでいる学生もいました。日本語の授業を受け、日本に関するイベントも企画していました。このように日本に興味を持ってくれて、日本について勉強してくれていることは非常に嬉しいことだと感じます。日本とマレーシアの大学同士で、互いの文化を共有し、様々な交流が出来る機会がより増えればいいなと思います。

<終わりに>
 このプログラムを通して、マレーシアやペナンについて本当に様々なことを知ることができ、それと同時に、日本についても今以上に日本人として知らなければいけないことがあると感じました。日本人としての誇りを持って、マレーシアだけでなく様々な国とより良い繋がりを築いていきたいと思います。
 10日間で様々な素晴らしい経験をすることが出来たのは、関わった多くの方々のおかげです。本当にありがとうございました。



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