参加学生レポート

英検2級の絶望~What I brought back to Hokkaido~

帯広畜産大学 畜産学部 畜産科学課程2年
小林 奨

<大きく変った私の価値観>

Olympia Collegeのときのセント・ジョージ教会

私がこのプログラムに参加しようと思った理由は海外に出て経験を積み、将来の自分に役立てたいという思いがあったからです。実際にマレーシアで10日間過ごしてみて私が予想していた以上のものを得ることができましたし、この経験を受けてまた次の一歩を踏み出そうと強く思いました。
 また、初めての海外をマレーシアで過ごしたことにより、日本とマレーシアの違いとマレーシアの良いところを感じ、私の出身地である北海道を一歩引いて見ることができたと思います。これからの私の課題を見つけるとともに、今回のペナン春期学校に参加する前と後では私の価値観は大きく変わりました。

<思い知らされた現実>

DISTED Collegeでの1枚
 私は高校2年生のときに英検2級を取得しました。英検2級は高校卒業レベルです。高校生のときから英語に対してはそれほど苦手意識もなく、むしろ得意科目の一つでした。“英語は得意なんだし、英検2級も持ってるんだから海外に出ても何とかなるでしょ”と思っていた井の中の蛙は、マレーシアに行って絶望することになります。マレーシアの学生はお互いに英語で流暢に会話しますし、それに加われない私は、聞き取れても片言でしか返事を返せませんでした。英語での授業も先生が何を言っているのかほとんどわからず、うなずくことしかできませんでした。
 私は普段から英語に対して話すことに使うという意識がなく、日常生活で英語を話したこともあまりありませんでした。まして今回のプログラムのように1日中英語でコミュニケーションをしなければならない状況に迫られることもなく過ごしてきました。今回のプログラムでは私の英語力の低さを実感させられました。

<日本とマレーシアの違い>

ホームステイ2日目の朝、絵がかいてある布に色を塗っている様子
 マレーシアには様々な人種が混ざり合っていています。インド系、中国系、マレー系など、マレーシアで生活しているといろいろな人たちと接する機会があります。その人たちとコミュニケーションをとるためにマレーシアに住む人は中国語や英語、マレー語など様々な言語を話します。私が聞いた中で最も多くの言語を話す人は7か国語を話す人がいました。日本語を話せる人もいて、訪問した先の大学生や屋台のおじさんなども日本語で私に話しかけてくれました。
 日本に住んでいると違う言語を話す人々と日常的に接する機会は多くありませんし、外国語を話せることがどういうことにつながるのかわかりません。私もペナン春期学校に参加する前は外国語を話せることで何が違ってくるのかわかりませんでしたが、参加した後では、相手の国の言葉を理解して話すことは単にコミュニケーションをとること以上の役割があることに気づきました。

3月5日、子供たちと椅子取りゲームをしている様子
 例えば中国語は広い面積と古い歴史を持つので、それぞれの地方によって話す言葉が違います。同じ中国人でも出身地が違うと言葉が通じないことがあるのです。ほかにもマレー語の挨拶に ”Sudah makan” というのがあります。これは ”ご飯食べましたか?” という訳になります。これはマレーシア人が食べることに対して関心が高いことを示しているといえるでしょう。
 このような意味を理解すること、外国語を外国語のまま理解し話すことは、相手の価値観、文化、習慣などを理解することにつながり、結果としてお互いに分かり合えることになるのです。マレーシアの国教はイスラーム教ですが、中には仏教のお寺があったり、教会があったり、ヒンドゥー教の寺院や中国のお寺もあります。そのほかにもペナンの街並みは歴史観漂う古い建物と西洋風の建物、近代的な建物とが混ざり合っています。そのような中でも対立することなく平和であるのは、いろいろな言語を話すことができることが要因の一つだと感じました。日本にいるとこのような状況はなく、複数の言語を話す必要もないのでマレーシアに来て初めて思った感情です。

<日本とマレーシアの共通点>

カピタンクリンモスクの写真(Olympia Collegeのとき)
 日本とマレーシアは異なったところが多いですが、共通点もあります。それは人が温かいということです。初めての海外だったので戸惑うことも多かったのですが、ペナンの人はとても親切に助けてくれました。
 ペナンの交通量は多く車がひっきりなしに通ります。道路を挟んで向こう側に行きたいとき、信号機が近くにない場所では車が来ているところを横切るわけですが、私たちが横切ろうとするとわざわざ車が止まってくれます。このやさしさに感動しました。ほかにも、ある建物を背景に記念写真を撮ったとき、建物の前が道路でカメラマンは道路を挟んだ向かい側の歩道に立っていたのですが、その前を通ろうとしていた車が記念写真を撮っていることに気づいてくれて止まってくれたのです。もしかしたら日本のドライバーより優しいかもしれません。私も運転をしていてこのような場面があったら止まろうと思いました。

<好きになった北海道>
 マレーシアに行って北海道の魅力を改めて感じました。北海道はマレーシアでも有名で、北海道から来たというとみんな ”Oh~!” と反応してくれますし、北海道の話をすると興味を持って聞いてくれます。地元である北海道に対してそれほど良い印象を持っていなかった私でしたが、これを機に北海道の魅力を再確認し、改めて北海道はいいところだなと実感しました。これからはペナンの学生たちに北海道についてもっと知ってほしいし、ぜひ北海道に来てほしいと思いました。

<ペナンでの食事>

ブッフェスタイルのSEGi Collegeのフードコート
 マレー語ではあいさつが”もうご飯食べた?”となるほど食に対して関心が強いマレーシアでの食事も、私の価値観が変わることの一つの要素でした。ペナンで食べるカレーはどれも辛い味付けでした。ご飯にも辛い味付けがされている料理もあり驚きました。私は辛いのが好きなのでペナンでの料理はとてもおいしかったのですが、飲み物では少し戸惑ったこともありました。紅茶やコーヒーはすごく甘く飲めませんでした。これは文化や気候によるものだと思いますが、食文化の違いを感じました。とはいってもパイナップルジュースやマンゴージュースなどは素材の良さが際立っていて濃厚でした。さすがは年中熱いマレーシア、また飲みに行きたくなりました。毎回違った場所で、毎回違う種類(インド、中国、マレーなど)の食事を食べさせていただきいろいろな食文化に触れることができましたし、これがマレーシアの食事に対する思いがあふれたおもてなしなのだと実感し、うれしく思いました。

<経済発展の著しいマレーシア>

夜のマレーシアの屋台、マレーシアの文化と活力を感じさせる1枚
 マレーシアにはたくさんのエネルギーがありました。気力があふれているのです。街を歩くと車はたくさん通っていますし、屋台もにぎわっていました。夜の屋台ではステージで歌を歌っている人がいて盛り上がっていましたし、そのあと行った公園ではローラースケートをしましたが、人がたくさんいてそこも活気があふれていました。建設中の建物が多く、海沿いには高級ホテルが並び、ペナン島とマレー半島を結ぶ橋は東南アジアで最長ですし、マレーシアは海外と貿易をするときに地理的に有利な場所にあるので日本の企業もマレーシアに進出していますし…。とにかく挙げればキリがないほどマレーシアは発展しています。そうした活気あふれるマレーシアを体験できたことは将来の自分に大きな影響を与えるでしょう。

<外国語に対する考え方>

KDU university collegeでの授業の様子
 ペナンの人が英語を話せるのは、彼らが単に日常生活で英語を必要としているだけという要因だけではなく、英語を使うことに対する意識の違いがありました。彼らは英語やほかの言語を、読み書きより、話す、聞くというコミュニケーションの要素を重視し、積極的に使っていました。私は今まで読み書きのイメージしか英語に対して持てておらず、英語を実際に話すということにあまり意識がありませんでした。そのように考えると私の英語学習に対する考え方も変わり、それからはほかの人と話すこと中心に考えるようになりました。外国語に対する考え方が変わったので英語以外の言語もコミュニケーションの手段として学んでみたくなりました。

<まとめ>
 今回のプログラムで私が得たものはいろいろなことに興味を持つことは大事、何事も積極的にチャレンジしてみる、ということです。マレーシアの人は私たち日本人に興味を持っていろいろなことを聞いてくれましたし、外国語を使うときでも積極的に話します。そんな姿を見て私も刺激を受けました。私の大好きな北海道に帰ってきてもこの気持ちを忘れず、またこの北の大地から一歩踏み出します。
 一緒にペナン春期学校に参加した15人の仲間と、今回お世話になったすべての人に感謝します。ありがとうございました。



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