参加学生レポート

私が参加した理由

麗澤大学 経済学部 経営学科 4年
国際ビジネスコース 所属 小竹 充

<マレーシアの魅力に取りつかれている>

マレー伝統舞踊「シラット」

私はマレーシアを愛している。大学二年生の後期から一年間、マレーシアのサラワク州に交換留学したことがきっかけとなり、マレーシアの魅力に取りつかれた。帰国後、代々木のモスクにアザーンを聴きに行ったり、新大久保のイスラム横丁にハラルフードを求め足繁く通ったりした。それでもマレーシアへの愛が抑えきれず、頭がおかしくなりそうなくらい、毎日「マレーシア」をキーワードにインターネット検索をかけていた。
 そこで偶然にも見つけたのがこのプログラムである。マレー系、中国系、インド系が同じ土地を共有している多民族国家だとか、2020年までに先進国入りを目指すWawasan2020だとか、シンガポールに隣接しているジョホールバルのイスカンダル計画についても、このプログラム参加以前から知っていた。 現在進行形で直面している就職活動から少しの時間離れ、他国・地域の留学生との交流を通じて自分自身を見つめ直したかった。それが最大の参加理由だ。
 このレポートでは、これからマレーシア留学に挑戦しようと試みる人に向けた、マレーシア・ペナンついて知るべき三つのことを、私の体験を交えながら記そうと思う。

<マレーシア・ペナンついて知るべき三つのこと・・・その1>

アクティビティに悪戦苦闘
 まず一つ目に彼らのテキトーな性格から学ぶことについて。
 何度も言うが、私はただいま就職活動の真っ最中である。就職説明会に足を運ぶと、グローバル人材を求め、男女参画社会を掲げる企業がほとんどだ。「グローバル化の時代です!」「女性の活躍に期待しています!」これらの言葉には少々違和感を覚える。なぜなら、そうやって就活生の前で熱弁するのは、いわゆる“オジサン”しかいないからである。言葉にするのは簡単だが、実行できている企業はいくつあるだろう。そして、それらの言葉をどのように定義しているのだろう。
 ペナンで訪れたほとんどの学校では、学生主導で企画立案し、私たちに現地の魅力をプレゼンテーションやグループワークで伝えてくれた。彼らの行動力やコミュニケーション能力には目を見張るものがある。訪れる学校がペナンにあり、しかも私立ということもあり、財力に比較的余裕のある中華系の学生が目立ったが、それでもマレー系やインド系といった様々な人種が混在した環境であった。そして、リーダーシップを発揮する多くの女子学生も目立った。彼女たちはシャイな男子学生たちを置いて、物怖じせずどんどん私たちに明るく声をかけてくれた。先生たちにも、同じく言えることがある。日本では学校運営に携わる女性はまだまだ少ない。

ババニョニャについて勉強中
 一方で、マレーシアでは校長や学部長といった、トップに女性が活躍している。実際に訪れた学校の半分以上が女性を幹部・管理職に登用していた。イスラム教が国教のマレーシアは、意外にも日本より女性が輝ける場所だったのだ。
 ここでマレーシア人が日頃から多用する、ある言葉を引用しよう。「OK lah!」この「lah」にはほぼ意味はなく、「~だよ、~ね」といった文章をフレンドリーにするニュアンスがある。彼らは基本的にテキトーな性格である。どんな悩みや相談にも「OK lah!」と答えてくれる。注意しておきたいのが、彼らに解決できるかどうかはまた別の話である、ということだ。
彼らはどんなことでも受け入れる、心温かい愛すべきテキトーな国民である。中華系は中国語を話し、中華料理を食べ、中国系と結婚するというライフスタイルがある。マレー系やインド系も、また然り。民族別に住み分けが進んでいて、民族の垣根を超えた結婚は一般的にない。それぞれの境界線がある程度はっきりとしているのだ。人種や宗教に干渉しないのと同時に、老若男女で人を判断しない性格でもある。日本人の誰しもが隠れた性差別、人種差別、年齢差別意識を持っている。みんなそれらの差別意識を通して世界を見ている。そういった隠れた差別や偏見は罪ではない。そこで、マレーシア人のように異文化に敏感になりすぎず、日本の多様性の欠落を認め、ある程度のテキトーさを持ち合わせた「OK lah!精神」が、日本人にとっても本当の意味でグローバル化を進める原動力になるのではないだろうか。

<マレーシア・ペナンついて知るべき三つのこと・・・その2>

Disted Collegの友人たち
 二つ目に、マレーシア留学の価値について。
 まずはマレーシア留学と欧米留学を比較してみよう。日本人の中には、マレーシア独特のアクセントを指摘する人がいる。もしも語学留学に興味があるならば、英語教育の質や日常英会話の少なさは欧米と比較すると見劣りするかもしれない。大学ではほぼ全ての学生が英語を話せるが、英語の質には極めて大きな差がある。インターナショナルスクールを卒業し流暢に日常会話のスラングとアカデミックな専門用語を巧みに使い分ける学生や、簡単なコミュニケーションさえ苦手な学生がいるのも事実だ。
 ここで間違ってほしくないのは、英語は準公用語でありマレー語が公用語、つまり英語が上手に話せない彼らを軽視するのはお門違いなのだ。
 私たち日本人はほとんどの人が英語をはじめとする外国語を話せないのだから、彼らの英語のアクセントについてとやかく言う権利はこれっぽっちもない。
ロックンロールホテルでパーティー
 彼らはマレー語以外に英語、広東語、北京語、客家語、福建語、タミール語、アラビア語、少数民族の言語などを話すマルチリンガルである。マレー系やインド系でも中国語を話せる人は珍しくない。マレーシア人は言語の天才なのである。現在私はマレー語を勉強中だ。留学中と比べるとほとんど忘れてしまったのだが、言語を通して彼らの文化的背景を学んだマレー語には、今でも親しみを持っている。
 では、マレーシア留学の根本的な価値とは一体何だろうか。それは出会いである。 ここで、ある学生の一言を共有したい。Disted Collegのアクティビティで、私たちは特別支援学校に招待され、子供たちと椅子取りゲームや寿司作りを楽しむ機会を与えられた。
子供たちと
 私たち日本人学生の中に特別支援教育を分野に学んでいる者はいなかった。それでも、私たちは思い思いに子供たちとふれあい、それがボランティア活動の一環だと忘れるくらい心から笑いあった。今でも彼らの笑顔や笑い声を思い出すことができる。
私はこのアクティビティを提案した一人のある学生に疑問を投げかけた。「日本人学生を特別支援学校に連れて来ることに、ためらいはなかったのか」結果的に、このアクティビティのおかげで日本人学生、Disted Collegの学生、そして子供たちが大変満足した一日となった。しかし、私たち日本人学生が子供たちを目の前に戸惑ったまま、うまくコミュニケーションを取れず失敗に終わる、ということも予測できたはずだ。「君たちは日本人だから」彼はそう返事をしたのだ。
寿司作り
 この言葉には様々な想いや歴史が込められている。マレーシアは親日と呼ばれる国の一つだ。日本人というだけで優遇され、チャンスを掴みやすい環境がある。これは私たち日本人の先代が築いてきた信頼やネットワークの豊かさがペナンにはあるからだ。
 現代ではアニメや漫画といったサブカルチャーがマレーシアの若者に人気があるが、第二次世界大戦時、日本はマレーシアを占領した暗い過去がある。それでも、日本人とマレーシア人には世代を超えた出会いがあり、信頼がある。それがマレーシア留学の価値である。日本人として尊敬されるということを、次の世代にも残したい。
 ちなみに、私は就職活動においてホテル業界を志望している。少なからず、彼らのホスピタリティ精神から影響されたと言っても過言ではない。日本政府はインバウンド目標を2000万人から3000万人に引き上げた。近い将来、私が彼らを出迎える立場になるのが楽しみである。その時は、彼らにあっと言わせるような出迎えとおもてなしをしたい。

<マレーシア・ペナンついて知るべき三つのこと・・・その3>

仲良くなりました
 最後に、マレーシアの「ラクサ」を紹介したい。
 異なる地方で、全く異なる見た目と味が楽しめるご当地ヌードル、それがラクサである。あっさりとした魚介のうまみと酸味が味わえるアッサム・ラクサ(ペナン・ラクサ)や、ココナッツミルクの甘みとチリの辛味を同時に楽しめるニャニャ・ラクサなど、豊富なバリエーションがある。私の一番のお気に入りは、もちろん第二の故郷の味、サラワク・ラクサである。
 その地方でしか味わえないラクサは、その地方ごとに異なる文化や歴史を持つマレーシアを写し出す鏡である。甘味、酸味、塩味、辛味、それは様々な人種が暮らすマレーシア人の共存から生まれた歴史である。もしも、あなたがアッサム・ラクサを食べれば、一瞬でペナンに恋に落ちるだろう。

<終わりに>
 たった10日間で幕を閉じたこのプログラムに、正直に言えば物足りなさを感じた。しかしそれは、ペナンで出会った人々と、もっと時間を共にしたかったという虚しさや、寂しさといった感情である。不純な理由であれ、このプログラムに参加できて本当に良かった。マレーシア政府観光局のみなさま、現地で支えてくれた方々(特にアーロン!アジさん!)に心より感謝申し上げます。そして15名の仲間たち、ありがとう!!!



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