参加学生レポート
多くの出会いを通じて得たもの
千葉大学 文学部 国際言語文化学科 2年
河村 南帆
<絶対に忘れることのない時間>
2016年2月27日の出発から3月8日の帰国までの全日程11日間。それは今後の私にとって絶対に忘れることのない時間であると思う。この11日間が予想していたよりもはるかに速いスピードで過ぎ去っていったのは、きっと毎日が濃くて充実していたからだ。
初日に訪れた極楽寺
大学1年生としての1年間が終わりかけているときに、私はとても焦っていた。2月中旬から始まる長期の春休みに、何かしなくてはもったいないと感じ、様々な機関が行っている留学やインターンのホームページを見ていた。しかし、どれもしっくりくるものではなく、自分に合っているかもわからなかった。
そんな中、私は自分の大学の国際教育センターという機関のホームページで、学外からの募集として来ていたこの「ペナン春期学校2016」の案内を見つけた。募集要項や活動内容に目を通したときに、「これだ!」と感じた。私は幼い頃から英会話を習っていて英語がとても好きだったので、英語を通して多くの人々と交流できるといったところに魅力を感じ、さらに多様な文化が入り混じっているマレーシアという国にとても興味が湧いた。すぐに応募を決め、無事に試験にも合格することができた。
<ペナンの第一印象>
ペナン国際空港到着ゲートにて多くの方に出迎えていただいた
羽田からクアラルンプール経由でペナンまで約8時間のフライト。ペナン国際空港に着陸した飛行機の機内から外を覗いてみると、「とにかく明るい!」それが私のペナンの第一印象であった。2月末の日本はまだ寒さが残っている時期だが、それに比べてペナンは、太陽が照り付けていて真っ青な空の真夏の気候。そのため日本の真夏の時期の日中のように外は明るかった。あまりの違いに初日はとても戸惑ったが、慣れてしまえば暑さも関係ない。もう一つ、私がペナンを「とにかく明るい!」と思った理由がある。それは、ペナンの人々である。初日、空港の到着ゲートを抜けた私たちを待っていてくださったのは、私の予想をはるかに上回るほどの多くの現地の方々だった。大きな旗を持ち、溢れんばかりの笑顔とたくさんの拍手で、不安でいっぱいの私たちを温かく迎え入れてくださった。そのときの場の雰囲気を、私は忘れることができない。現地の方々のおかげで、皆が明るい気持ちになることができ、長時間のフライトで疲れ気味だった私たちを元気にさせてくださった。
<ジョージタウンの街並み>
様々なお店の看板
私たちはペナンに滞在中、世界遺産に登録されているジョージタウンという街の中で大半は生活していた。行く前から多少は知っていたが、実際に行ってみたら新たな驚きがたくさんあった。ペナンには、マレー系、中国系、インド系など様々な人種の方がいるため、日本のように何もかもが統一されているわけではない。例えば標識やお店の看板を一つとってみても、ほぼすべてのものにマレー語と英語が両方書かれていた。中国系のお店の看板には必ず、中国語と英語が書かれていたし、マレー語を加えて三か国語すべてで書かれているものもあった。日本にはあまりない光景なので、とても新鮮だった。また、ジョージタウンはウォールアートでも有名である。出国前に写真などを見て、ある程度の予測はしていたが、実際に街を出歩いてみると、いたるところにウォールアートがあって驚いた。しかも壁に描いたものだけでなく、針金のようなもので形作られたものあり、その種類は数えられないほどであった。私たちが滞在していたホステルを出て徒歩1分くらいの曲がり角にもウォールアートが施されており、初日に初めて見つけたときは、こんなにすぐ近くにあるものなのか!と感じた。
<多くの人々との出会い>
現地の学生と
私は小学生くらいのときから、なぜだかずっと「人と接する」ということが大好きであった。それは大学生になった今でも変わらず、今回のプログラムでも改めて実感することができた。まず初めに出会ったのが、今回のプログラムに一緒に参加した15人の同世代の仲間たち。出発当日にほぼ「はじめまして」の状態からスタートした私たちであったが、ペナンで一緒に過ごしていくうちに、すぐに仲良くなることができた。もちろん、日本人の仲間だけができたわけではない。現地の大学でのプログラムを通し、現地の学生や、先生方とも打ち解けあうことができた。現地の方々はとても気さくで、いつも笑顔で接してくださったので、とても話しやすかった。また、私たちの要望や希望をいつも真剣に聞き入れ、全身全霊で「おもてなし」をしてくださっていた。そしてまた、皆でご飯を食べに行ったときのお店の店員さんも私たちによく話しかけてくださった。注文をしたあとに、どこから来たの?ペナンに来てどれくらい?などと聞かれ、自然と会話を続けることができた。本当にこの11日間で、数え切れないほどの多くの出会いがあった。
<ホームステイ>
手にペイントをしてもらいました!
ペナンで過ごす最後の週末には、ジョージタウンから少し離れたところにある村で1泊2日のホームステイをした。最初この村に到着したときは、林の中で不思議な音楽を奏でている音楽隊のような方々についてきて、と言われ、私たちは一体どこに行くのだろう、と少し不安があったが、村の人々は皆とても優しく、温かく私たちを受け入れてくださった。私は、私を含め4人で1つの家にホームステイをしたが、同じ建物の隣の部屋にも4人のペナンの学生が私たちと同じようにホームステイをしに来ていた。その4人はとてもフレンドリーで、よろしくね、と着いてすぐに声をかけてくれた。その4人のうちの1人の友達もたくさん私のホームステイ先に遊びに来ていて、次から次へと友達の輪が広がっていった。その日の夜には、マレーシアの伝統的な結婚式を模した式を広い公園で催してくださり、私たちは皆マレーシアの民族衣装を身にまとって参加した。さらに私がステイした家では、マレーシアの独特なペイントタトゥーのようなものをしてくださる専門の方がいらっしゃっていて、私たちは思い思いのデザインを選んで手の甲から手首にかけてペイントをやっていただいた。民族衣装を着て、ペイントをやってもらい、結婚式に参加するなんて、もう気分はすっかりマレーシア人であった。翌日の朝ごはんとティーブレイクの時間は家の方が料理を作ってくださり、カレーやナン、またニョニャスイーツなどマレーシアの家庭料理も楽しむことができた。
<東南アジアに目を向けてみること>
こちらもペイントしてもらった手。綺麗でしょう?
今回は私にとって初の東南アジア圏への留学になった。正直に言ってしまうと、今まであまり気に留めたことのないような地域であった。私の周りにも英語圏に留学しに行く人は大勢いるが、やはり多くの人はアメリカやイギリス、オーストラリアなど主要な欧米圏に行っている。それもそれで良いところはたくさんあると思うが、一度でいいから日本から近い東南アジアに目を向けてみることも大事だと実感した。日本にはない文化の多様性や、それをお互いが受け入れて保護し合っていること、また東南アジアから見た、私たちの国日本というような様々なことを、肌で感じ、体験することができる。今回の11日間は私にとって本当に貴重で大切な体験となった。
<最後に>
今回は飛行機の手配などから自分ですべて行ったため、少しだけ自分に自信がついた気がする。また、先ほども述べたが、改めて自分は人と接することや人の笑顔を見ることが好きなんだと実感することができた。今回のこれらの気づきを、ぜひ今後の学生生活や新たな挑戦、そしてまた将来のことに活かしていきたいと思う。
最後になりましたが、今回のこのプログラムを運営してくださった、ペナン教育観光センターのみなさま、マレーシア政府観光局の徳永さん、「ペナン春期学校2016」運営事務局の片桐さん、そして関わってくださったすべての現地の方々にこの場を借りてお礼申し上げます。このような貴重な体験をさせてくださり、本当にありがとうございました!そして最後の最後に、11日間一緒に過ごしてきた15人のメンバー、あんなにも楽しい時間をありがとう。
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