派遣生レポート

~マレーシアでの「出逢い」が私を変えた~

同志社大学 経済学部 経済学科
川口 美南

「ルックマレーシアプログラム2013」に参加させていただき、多くの「出逢い」が私の人生観、ライフプランを大きく変えるきっかけとなりました。そのさまざまな「出逢い」についてご紹介したいと思います。

マレーシアに一緒にいった仲間

初めて会う仲間と異国で3週間も一緒に過ごすことに対して緊張と不安でいっぱいでしたが、同じ目的を持った仲間なので話をしていくうちにすぐに打ち解けることができ、プログラムを成功に導くことができたと思います。

表敬訪問・企業見学・市内観光

はじめの1週間はクアラルンプール市内のホテルに滞在。「マレーシア政府観光局本局」「在マレーシア日本大使館」「ジェトロ」「Air Asia本社」「Dream EDGE Sdn bhd」「Shinko Electronics」「マラヤ大学」を訪問・見学させていただき、多種多様にご活躍しておられるかたと出逢いました。そこではマレーシアという国の経済、社会情勢、文化などについてお話をうかがいました。その中でも経済発展を視点にし、マレーシアと日本それぞれの強みを学べたことが私にとっては非常に興味深いものでした。マレーシアの強みは今後も成長が期待される金融取引のイスラム金融、豚肉やアルコールなどの使用を禁止した世界人口の25%をマーケットとするハラル産業など多民族やイスラム教徒をターゲットにしたビジネス。日本の強みはICチップに代表されるような技術力の高さ、信頼性の高さを生かしたビジネス。海外から見た日本の強みを肌で感じることができました。

市内観光ではマレーシア政府観光局のラーマン氏に引率していただきました。マンゴスチンやランブータンなど南国ならではのフルーツを屋台で堪能し、マレーシア経済発展の象徴であるツインタワー、熱帯雨林の研究施設を含む自然公園フリムなどを案内していただきました。ラーマン氏は日本語での冗談とマレーシアのジョークをとばすユーモアのある方で、とてもリラックスさせてくださりあっという間に時間が過ぎていきました。私もラーマン氏のように日本を訪ねてくる海外の方に楽しんでもらえるような案内ができるようになりたいと思いました。

ホームステイ

次は1人ずつに別れて現地のご家庭に3日間のホームステイ。私がお世話になったのは企業訪問先の一社のCEOであられるアドリ氏のお宅でした。アドリ氏はマレー人でかつて日本の国立大学で勉学に励み、日本企業にも勤務なさった経験もあり日本語も堪能です。そしてとても親日家で、日本語で日本人の気質、文化、企業精神のあり方の素晴らしさを私に話してくださいました。特に日本人の技術、時間に対する考え方やマニュアル化の素晴らしさを絶賛されておられました。また日本の企業や著名人、永田町など日本の地名や日本のテレビ番組に至るまで日本人である私以上に日本のことをご存知だったことに驚きました。アドリ氏のご家族は奥様と生後6ケ月の女の子がいらっしゃいました。奥様はマレー語、英語は話しますが日本語はわからないので、 私とのコミュニケーションは英語でした。といっても私の英語はつたないものですのでなかなか伝わらなかったと思いますが、あきらめることなく忍耐強く理解しようとしてくださいました。そのおかげでなんら困ることなく、それどころか楽しくコミュニケーションを取りながら時間を共有することができました。生後6ケ月の赤ちゃんはまだお話しができないので、それを良いことに日本語で話しかけながらおもちゃで一緒に遊んだりしました。この赤ちゃんも自然とマレー語、英語を話せるようになるのだなと思うと、私もがんばらなくてはと増々やる気がでます。また将来、赤ちゃんが大きくなった時に今度は私がホームステイを引き受けられる、立派な日本人そして国際人になっていようと強く心に決めました。

ホームステイの週は独立記念日にあたり、お正月よりも盛大に御祝をするそうで、花火が打ち上げられ街中がマレーシア国旗で埋め尽くされ、一層にぎやかな雰囲気を味わうことができました。またホームステイで感じたのは家族をとても大切にしているということです。週末には遠方に暮らすご両親や親戚も一堂に会し、一緒に食事を楽しんだりします。みなさん本当に親切で言葉が通じなくても真心で接してくださいました。
 日本の先人のおかげで今の私たちが異国でこのようにおもてなしを受けることができるのだと感謝をしたと同時に、今度は私たちがあとに続く日本人のために日本人である誇りを持って恥じぬようにしなければならないと痛感しました。そして日本人である私がもっともっと日本のことを知るべきだということを認識しました。

現地大学「Infrastructure University of Kuala Lumpur」での短期留学

現地大学で2週間の短期留学です。ここでは異国の人たちとの寮生活です。大学に着き、最初に驚いたことは中東アジアやアフリカからの学生が多く在籍していたことです。日本にいるとなかなか交流する機会のないシリア出身の学生とも友達になることができました。それぞれの国の事情を聞き、すべてのことに、すべての人に感謝をし、一日一日を大切に生きていこうと思い直しました。そして必死に生きようとしている人のために少しでも役立てることをしていこうと思うようになりました。

このプログラム中にいちばん外国語を使う機会が多かったのがIUKLでの大学生活です。すべての授業が英語で行われ、IUKLの学生との会話ももちろんのことながら日本語は通じず、すべて英語で行いました。聞きたいことを尋ね、頼みたいことをお願いするといった簡単な英会話しかしたことがなかった私にとって同世代の大学生との日常会話をすべて英語で行うのは初めての経験でした。最初は不安と緊張でいっぱいでしたが私のつたない英語にもしっかりと耳を傾けてくれる温かい学生に恵まれ、あっという間に友達ができました。

言葉だけでは伝わらない時はジェスチャーを交え、聞いたことのない単語が出てきた時は例をあげ、探り探りではありますがコミュニケーションを取ることができました。帰国時にはベストフレンドと呼べるかけがえのない存在にも恵まれました。お互いの想いや考えを相手に正確に伝えるということは日本語でも難しいことです。相手に伝えたい!相手のことを知りたい!という気持ちがあればたとえ国、言語、文化が異なっていても絆を築けるということをIUKLで出会った学生たちから学びました。またそれと同時に言語というツールをうまくコントロールすることができれば、より円滑にコミュニケーションを取ることができ、より多くの人々と同じ空間を楽しむことが可能になるということを身をもって体験しました。これからは英語だけではなく、他の言語も学び、身に付けてたくさんの異国の人々とコミュニケーションを取ることが大切でしょう。それが世界平和への第一歩にも繋がっていくのではないかと思いました。

帰国後に思うこと

今回のプログラムで私が感じたこと学んだことはほんの一部に過ぎず、マレーシアから学べることは他にもたくさんあると思います。実際に訪問し、経験した人にしか感じることのできない特別なことがあります。多くの日本人にマレーシアだけに限らず、海外に目を向け、足を運んでいただきたいです。そうすることで日本の技術、おもてなしの心など日本にいるとあまり気づくことのない日本の良さを実感できるに違いありません。
自分が少しの勇気をもって一歩踏み出すこと行動することで「出逢い」があり、そこからこんなにも考え方や心まで大きく変化をもたらすものなのかと感慨深いものがあります。
私の人生観、ライフプランを大きく変えることとなった一番の影響者であるアドリ氏とは帰国後もe-mailやお電話でコンタクトを取ったり、近々日本でお目にかかる約束もしております。私はこれからも多くの国を訪問し、現地の人々とコミュニケーションを取りながら多くの「出逢い」をしていきたいと思います。

貴重な体験をさせていただいたこのプログラムにはいつも人との「出逢い」がありました。ルックマレーシアプログラム2013でいただいたすべてのご縁に感謝し、これからもこの縁を大切に、必ずや恩返しのできるグローバル人になりたいと思っております。この場をお借りしてお世話になった皆様に御礼申し上げます。ありがとうございます。