派遣高校生レポート
マレーシア研修報告
県立千葉高校
外山 涼
レポートの作成に当り、まずは素晴しいマレーシア派遣事業に参加でき、掛替えのない多くの思い出を作れたことに対して感謝の意を示したい。ヌルルさん、慶児さん、千葉県総合企画部国際課の皆様、マレーシア観光局の皆様、そして10名の仲間、有難うございました。
さて、私が日本を旅立つ前に思い描いていたマレーシアは「東南アジアの1つの国であり、その中心的存在を占めている。経済活動は古くはゴム、スズを中心としたモノカルチャー」といった当り前な情報ばかりであった。では、いざマレーシアに行ってみてどう思考は影響されたのかといえば、東南アジアをなんとなく「発展途上」の意識のバイアスを通してろくに調べもせずただ日本で傍観していた私は、街中に林立する巨大高層ビル群や他の先進国にも負けず劣らない卓越した技術に肝を抜かれた。なるほどこれが急速に成長する経済立国なのかと痛感した。同時にこれからは発展途上国が先進国に支援を受ける、いわゆる国家の上下関係ではなく、格差関係のない時代が訪れるのだと、新たなグローバル化社会の到来を目の当りに見た思いがした。
多文化、多民族の交錯する社会はどのようなものか。これは私たちが訪問した現地の高校に代表されると思う。訪問した高校では、生徒たちが各々の民族衣装を着て授業に参加してくれていた。服装を見れば一目瞭然だが、学校にはマレー系、中華系、インド系と、様々な民族の生徒がいた。もちろん日本では稀に見る光景だった。民族が違っていても彼らは互いに尊重し合い、ともに遊び、食事をし、笑っていた。ロシアのクリミア半島、パレスチナ問題など、世界の各々の地域で繰返される紛争のニュースに関心のある私にとって、人間は、たとえ民族が違っても、たとえ宗教が違っても、分り合え、1つになれるのだと確信できた貴重な体験となった。ホームステイも素晴しい体験であった。私はロスリーさん一家にホームステイさせてもらった。私は、朝の礼拝のため、近所のモスクに同行させてもらった。
神聖なモスクに入り、ムスリムが祈りを捧げる姿に感動し、イスラム教の教えを垣間見た思いがした。マレーシア特有のスパイスのきいた料理は、思っていた以上に辛くなく、私たち日本人にも馴染みやすかった。ロスリー家のダニアちゃんとディアちゃんとは折紙を通じて交流することができた。小学生の英語は手加減なくいつしか必死に折紙の説明をしている自分がいた。私はマレーシアの人々の多くは異文化を積極的に受入れ、認め合う精神を大切にしていると聞き、改めて彼らが多文化・多民族共生社会であると感じさせられた。
最後に私にとってマレーシアでの8日間の体験はとても貴重なものとなった。異文化経験を通じて、私自身、一回り成長できた充実感でいっぱいである。
この勢いを生かし、世界に目を向け国際舞台で活躍できる医師になれるように、さらなる努力を続けてゆきたい。これからもこの派遣事業を通じて千葉県とマレーシアの交流が深まり、千葉県を背負う人材が現れることを願う次第である。また、私もその一人となれるようにしたい。