派遣高校生レポート

マレーシア派遣事業を終えて

千葉県立柏高校 2年
曽田 直樹

近年、民族や宗教の対立に関する報道が増えていると感じます。しかし、マレーシアは多民族国家にもかかわらず、民族衝突が起こることなく上手に共存しています。その秘訣を学ぶことを目的のひとつとし、今回のマレーシア派遣事業に参加させていただくことになりました。また、以前は欧米ばかりに興味を持っていた自分に、アジア諸国への旅行で姉が撮影してきた写真がアジアの魅力を教えてくれました。そこで、アジアの縮図とも言われるマレーシアにぜひ訪れたいと思いました。

約6時間のフライトで、楽しみと少しの不安でほとんど寝られぬまま、朝6時頃に念願のマレーシアに到着しました。空港は予想以上に広く、日本の空港と同じくらい快適なものでした。空港からクアラルンプールの中心へ向かう途中のバスからの景色は、日本ではほとんど見ることのないヤシの木がたくさん植えられていて、常夏の国、マレーシアに来たことを改めて実感させられました。少しすると、建設中のビルやマンション、同じ造りの家が何件も建っていて、まさに国が急成長している雰囲気とそのエネルギーが伝わってきました。さらに1998年に完成した高層ビル「ツインタワー」は、予想をはるかに超えた迫力。特に、夜は昼間とは全く別のキラキラと輝く美しい姿で、思わず見とれてしまいました。

そんなマレーシアでの食事は、聞いていた通り辛いものが多く、はじめは少し戸惑いました。ですが、何度も辛いものを口にするたびに少しずつ慣れていき、日本では甘口のカレーしか食べられなかった僕が、辛さを美味しいと感じられるようになりました。また、主に食べていたのはナシレマなどのマレー料理でしたが、インド料理や中華料理など様々な種類の料理を手軽に食べることができるのは、多民族国家ならではの魅力だと思います。今回の滞在中、観光局や学校訪問、ホームステイなど様々な形で現地の方と関わる機会がありました。その中で感じたことは、どの方もおおらかで、フレンドリーで親切だということです。2日目に訪れた観光局ではじめは緊張していたのですが、観光局の方々にとても明るく気さくに話しかけていただき、マレーシアの観光についても多く学ぶことができました。

2泊3日のホームステイでは、ホストファーザーがサッカーコーチをしていたので、練習に参加させてもらうことになりました。朝8時から始まる練習ですが、時間を過ぎても来る子が何人もいました。この時僕は「ラバータイム」という言葉を思い出しました。これは、時間を気にしすぎないマレーシア人の習慣のようなもので、日本人の僕にとってマレーシア人のおおらかさを感じることのできる出来事でした。

1週間という短期間の滞在でしたが、このようなマレーシア人の国民性を感じられる場面がほかにもありました。そして、このおおらかさとフレンドリーな国民性こそが、他の民族を尊重して互いに理解し合うとともに、干渉し過ぎないということを可能にしているのだと思います。

今回の派遣で、実際に現地に行くことでしかわからないことや発見できないことがたくさんあることを実感しました。また、日本にはない多民族国家の魅力など、本当に毎日多くのことを学ぶことのできた有意義な1週間となりました。この経験を活かし、日本とマレーシアの関係をより良いものにするために自分に出来ることを精一杯していきたいです。最後になりましたが、今事業に協力していただいた皆様、本当にありがとうございました。