派遣高校生レポート

知ったら,もっと好きになったマレーシア

千葉県立成田国際高校
広松 沙樹

クアラルンプール国際空港に降り立つと,そこでは異文化が混在していた。様々な民族衣装。ターバン,サリー,バジュ・クルン。この景色は,多民族,多文化の人々が共存共栄できているマレーシアだからなのだろう。これまで行った韓国や多民族国家のアメリカにもなかったエキゾチックで融和的な世界に私は心を惹かれた。

私たち高校生を迎えてくださったのは,会員7000人を誇るALEPS(東方政策留学生同窓会)のなんと会長さんと副会長さん。これも日本国の御陰であり,マハティール元マレーシア首相の御陰である。首相は「ルックイースト政策」を掲げ,たくさんの留学生がここで誕生した。お二人はその同窓会のトップの方々なのだ。だから日本語も堪能。後に会うホストファザーのズワイリさんやその仲間の方たちも日本への留学生だから,すっかり日本語での会話だった。皆さんは,例えば日本の高専で学び,ズワイリさんに至っては,マレーシア国産車メーカー「プロトン」のプロジェクトマネージャーとして母国の工業を支えるだけでなく,旅行会社やお好み焼きやたこ焼きも並ぶ食堂を経営されたりもする多才な凄い人なのだ。

案内して戴いたのは,経済発展の象徴のツインタワー。なぜかピラミッドとスフィンクスのある日本のショッピングセンターあのイオン。イスラムのピンクモスク。そして,バトゥ洞窟。高さ42.7mの黄金のムルガン神像が目をひくヒンドゥー教の聖地である。私も白いビンディーをつけてもらった。偶像崇拝で対立する考えの異教が存在する国で,この状態が成立し得ているのは,観光局訪問の際に伺った「マレーシアは政治的に安定しており,互いを尊重している社会だから調和できる。」という特徴ゆえだ。私には,世界中が目指すべき理想に聞こえた。

3日目は高校訪問。「What’s your name?」「さき。」「Let’s take some pictures!」フレンドリー!日本人を好きでいてくれる。これも日本の先人の御陰。この日は特別に,みんな中華系・インド系・マレー系・プンジャビ等の民族衣装で迎えてくれた。私も浴衣を着て,お礼に日本舞踊を披露。すると,みんなで大撮影会が始まり,フェイスブックの友だちも一気に増えた。

ホームステイ先では,ラマダン明けで,互いに人の家を訪問し合う祭りのような日が続いていて,お父さんが千人位の人をホテルに招待したり,王様の御子息と言われる方と話す機会があったり,日常の私の周りでは,あり得ない時間を過ごしてきた。お別れの時に泣いてくれたお母さん。川で見たたくさんのホタル。約束の時間に迎えに来なかったり,会議中にあちこちで携帯が鳴る緩い感じだったりとかも長閑でいい感じだ。トランクいっぱいになったお土産以上の思い出をもらった。

マレーシアの人が日本を知って日本を好きになってくれたように,私もマレーシアを知ってマレーシアのことが大好きになった。マレーシアの諺「知らないと好きにならない」は確かだった。