派遣高校生レポート
一生の財産
船橋高校
楢原 和真
生まれて初めて飛行機に乗り、生まれて初めて異国の地に行ったこの経験は、決して忘れることはないだろうし、忘れたくありません。
緊張の心持でマレーシアに着いた僕は緊張から興奮の心持に変わり目に入るものすべてを目に焼き付けようとしました。空港からの移動でバスに乗っていた時でさえあたりをきょろきょろ見回していたのを覚えています。そしていざ観光地へ行ってみると意外と日本人なども多くいたりして外国にいるという実感があまりわかなかったこともありました。
しかし、やはり日本語は通じずお菓子などを買う時に値段の聞き違いなどもたびたびありました。食事についてはほとんどのものがスパイシーでしたが、とてもおいしかったのを覚えています。とくにおいしかったのはやっぱりナシレマです。ナシレマとの出会いは衝撃的でした。でもホームステイ先のお母さんが作ってくれた焼きそばみたいなものも忘れられません。とにかくマレーシアの料理はすべてとてもおいしかったです。建物などについてはクアラルンプールの中心あたりの高いビルには相当驚きました。
とくにツインタワーやKLタワーの夜景は感動的なものでした。もはや日本よりも都会的だったように思われました。日本大使館にも行かせていただくことがあり、職員の方々の貴重な話はとても勉強になりました。マレーシアでの宗教の関わる問題などについて質問することもできました。
ホームステイ先の方たちはみんなとても優しく親切でした。日本に4年間留学したことがあり、ダジャレを言って笑わせてくれるお父さん、笑顔で積極的に話しかけくれるお母さん、熱心に僕の話を聞いてくれる男の子2人、まだマレー語しか話すことのできない4歳のかわいい女の子。彼らは本当に僕のことを家族同然に接してくれているようでした。またイスラム教徒の家族だったので毎日決められた時間にお祈りもしていました。ある夕方にお父さんと長男と一緒に集会所でのお祈りに連れて行ってもらいました。
僕はただ眺めていただけでしたが、その帰り道でお父さんに「世界のあらゆるところで今紛争がありますがそのことについてどう思いますか」と聞いてみました。お父さんは「戦争はよくない。イスラームやキリスト、どの宗教にも元の部分に愛があるのだから」と言いました。
私はこれまで、紛争が起こるのは宗教が関係しているのだから一方的に宗教に対してよくないイメージを持っていました。
しかしお父さんの愛、という話を聞いて僕の宗教に対する考え方はがらりと変わりました。ホームステイの家族とのお別れはとても悲しかったですが、また来ようという強い意志を持って挨拶をすることができました。