派遣高校生レポート

肌で感じた マレーシア

東葛飾高等学校 2年
岡田 真輝

空港からKLに向かう時に車からまず、見えた景色は緑豊かなヤシ林だった。更に進んで行くと、景色は少しずつ表情を変えて工業団地や住宅地に変わっていった。最近では日本の三井不動産がマレーシア進出の布石として開業したアウトレットモールがあった。他にも電力需要が高まり続けている都市部へ沿岸部の発電所から引いている膨大な送電線も見え、パワーみなぎるマレーシアが次のステップへと歩んでいることが感じられた。

2階建てバスに乗る子供たち
沿岸から都市へ運ばれる電気
植林の様子

滞在2日目にKL近くにあるヒンドゥー教の施設のある洞窟を訪れた。入り口では、おもちゃを販売する店があり観光地らしさを感じた。その一方で、女性はスカートから肌が露出しないように布のレンタルをして入場することになっていて、宗教施設として厳粛な点もあり興味深かった。また、そこには国籍や宗教をこえてさまざまな人が訪れていた。埼玉から来ている日本人ファミリーや真っ黒なニカブで身を包む中東系のイスラム教徒の女性もいた。マレーシアが多民族国家ということは知っていたが、他宗教の施設にイスラム教徒がいたことにとても驚いた。このような他宗教に対しての寛容さは日本に似ていると思った。

滞在3日目にマレーシア国内でトップクラスの女子高を訪れた。マレーシアの伝統的な美術作品を一緒に作ったり、科学の実験をしたり、英語で自分たちの学校の話をした。異文化交流ショーでは、お互いの国の伝統的な歌や踊りを披露した。私たちは「ふるさと」を歌い、「ソーラン節」を踊った。あっという間に時間が過ぎて、別れの時になった。みんな笑顔で元気いっぱいに手を振ってくれた。現地校の人達と連絡先を交換したので、今でも交流は続いている。

酸の実験 現地校にて
ホストファミリーの子供たち
前の家に住む家族と日本料理店へ

ホームステイ先は中国系の大家族だった。ホストファミリーは医療機器の輸入、販売を行う企業を経営する両親、母方の祖母、曾祖母、13歳と11歳の娘と5歳の息子がいた。日本から持っていったオセロやコマなど大量のおもちゃで子ども達と遊びながらいろいろ会話をした。特に長女とは日本のアニメの話で盛り上がった。日本文化の浸透はとても喜ばしいことだが、海外でのアニメ視聴がほぼ不正アップロードで日本から送られたものであることを再認識して少し複雑な気持ちになった。

ホストファミリーとはKL観光やショッピングも楽しんだ。しかし、途中で持病を持つ曾祖母の容体が急変し、自宅で待機になった。その時は重苦しい雰囲気になり、どう言葉をかけ、どう行動すればいいのか分からなかった。だが、そんな時でもお父さんが機転を利かせてくれて、前の家に住む仲の良い家族に面倒を見てもらうよう頼んでくれた。そして、その家族も私のことを温かく迎え入れてくれた。その時に連れて行ってもらったレストランで和食を食べながら、偶然見た花火を忘れることができない。このホームステイでもまた、マレーシアの人々の助け合いの精神、思いやりのある国民性にふれることができた。

パーティーであった子と記念撮影
帰宅ラッシュの高速
中国系の人々で賑わう露店市

このマレーシアの滞在で印象に残ったのは緑豊かなマレーシアと近代化が進むマレーシアの両面をみることができたこと、教育制度がしっかりしていること、そして、一番心に残ったのは、滞在中何度も感じたマレーシアの人々の温かさと寛容さである。このような国民性だからこそ、多民族国家であっても宗教間での対立がおきず、人々が穏やかに暮らしていけるのだろう。マレーシアの人々のように他者を受け入れる寛容さが全世界に広がっていけば、戦争もなくなり、人類は平和に暮らしていけるのではないだろうか。大学生になったら、また、マレーシアを訪れてみたい。更に近代化が進んでいるだろうが、マレーシアの人々は変わらず、温かく迎え入れてくれるはずだから。

他の派遣高校生のリポートはこちらをクリックして下さい。
(氏名五十音順/敬称略)