派遣高校生レポート

「一生モノの六日間」

千葉県立千葉女子高等学校 2年
不破 夕里

私がこのマレーシア派遣事業に参加したのは、高校2年生のこの時期に、自分の夢である外交官について多方面で考えるきっかけになるのではと思ったからである。マレーシアに行く前までのイメージは、この国は東南アジアで少し前までゴムや椰子の木などのプランテーションがあったという「ありきたりな」ものだった。しかし、クアラルンプールに行って、私は驚きを隠せなかった。どこにいっても、建物はほとんど高層ビルで、ツインタワーがあり、道路はきちんと整備され、どのショッピングモールも広すぎて迷路のようだった。

ムスリムの人がお祈りするモスク
ごみの再利用施設見学
黄金のヒンズー教の神像

私がマレーシア派遣で強く思った3つの事

1つ目は、自分の英語力のなさを痛感したことである。まず、マレーシア観光局長の話が、まったく聞き取れなかった。また、それ以上に現地の高校生と一緒に話した時に、彼らの言う事がほとんど理解できなかったことが、私には衝撃的な出来事だった。日本で受けている授業では、ALTの先生が話す英語は大体聞き取れ、英語は得意教科だと思っていた。しかし、ALTの先生は、私達が分からない単語をゆっくり言い、実際の話す速度をかなり遅くしてくれているのだろう。今回気付いたのは、英語には様々な種類があり、私達が習っている英米中心の英語と、アジアで話されている英語には違いがあり、その違いを認識しなかった事と人々が実際に話す英語のスピードはとても速いということだった。日本にいると気付かないが、マレーシアでは、多くの人が英語でコミュニケーションをとっているのだ。これから日本がますますグローバル化していき、英語が当たり前のツールとなる日が来ると思うので、私も英語をまず日常的に話していき、様々な英語を知っていくことから始めなくてはならないと思った。

近代的な街並み
現地の古い街並み
郊外での道の脇に広がるプランテーション

2つ目は、先進国を目指しているマレーシアは物凄い勢いがあると感じたことである。マレーシアは、2020年に先進国になるという目標があり、それに向かって成長を続けている。この国では至る所で建設が進められていて、街を歩いているだけで活気が感じられた。そのようなマレーシアの活気を肌で感じてみて、「マレーシアは若い人たちが多く、みんな力強くて、すぐに日本を追い越すのでは」と思った。日本の私達の世代は、のんびりとしている人が多いと思う。けれど、マレーシアの人たちを見て、私達若者が社会に与える影響が大きいということを自覚した。これからは、私達が社会を支えていくのだという考えを忘れずに、過ごしていきたい。

3つ目は、マレーシアが多文化多宗教の国だということだ。世の中では今、様々な宗教が存在していて、その宗教上の違いにより生じる価値観のずれから、世界中でテロ・戦争・差別などが起こっている。私は、何の宗教も信仰してない上に、テレビで信仰心から自爆テロなどで無差別に人を殺している現状を見て、宗教にあまり良くないイメージを持っていた。しかし、マレーシアでは国教がイスラム教で、他にも様々な宗教が存在しているが、互いを否定するのではなく認め合っていて、各々の宗教の記念日には、マレーシア全体が休みになっている。そのような、マレーシアでのほかの宗教を認めるという行為は、宗教対立が起こっている国で大きく欠けていることだと思う。これからグローバル化が進み、様々な違う文化や宗教が互いに交流する機会が、増えてくると思う。そうなった時、私達は他の文化を無視したりするのではなく、他者を認め知っていくことから始めていくことが大切なのではないだろうか。私はそのように色々な文化を知り、将来は国と国とを友好的にするような仕事をしたいと思った。この体験を通して、そういう仕事には、外交官だけでなく、JICAなど様々な仕事があることに気付いた。

現地のレストランで食べた、あんかけ海老焼きそば
プランテーション農園
民族衣装を着て現地の高校で

今回の6日間を、私の人生の大切な1ページにし、この体験を必ず生かして歩んでいくことを誓いたいと思う。
 最後にこの派遣事業を企画してくださった、マレーシア観光局及び関係者の方々、応援してくださった先生方、私達をお世話してくださった千葉県庁の 慶児さん、ライターの小野さん、そして今回出会えた全てのメンバーへ心からの感謝の気持ちを伝えたい。



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