派遣生レポート

Every moment is unique

和歌山大学 観光学部 地域再生学科
中原 祐馬

まず、今回このプログラムに応募するに至った動機として、私は大学で留学生を支援するサークルに所属しているのですが、どうして留学生はこんなにもたくさんの言語を話せるのかと思い、では実際に何ヶ国語も話せる留学生の国を直接自分の目で見て、感じてみたいと思ったからでした。またこのプログラムを通じて出会った人たちと交流を深め、自分の世界を広げたいというのも応募した理由の1つでした。私自身海外経験はほとんどなく、以前に旅行で韓国に訪れただけでした。東南アジアは初めてで不安もありましたが、東南アジアは前々から訪れたいと思っていたのでわくわくした気持ちで日本を出発しました。

今年のルックマレーシアプログラムは大きく3つに分かれています。1つ目はマレーシア政府観光局、日本大使館、JICA、JETRO、パナソニックなどの機関訪問とクアラルンプール周辺の観光。2つ目はマレーシアの田舎で2泊3日のホームステイ。3つ目はKLIUC(現在はIUKLに改名)という大学で2週間ほどの語学研修です。

機関訪問ですが、マレーシアと日本の関係やマレーシアの観光事情、マレーシアから見た日本の観光、パナソニックではマレーシアの文化に配慮した取り組みについてお話を聞くことができました。特にJICAへ訪問したときは青年海外協力隊で派遣されている方にお話しを伺う機会があり、その方は身体障害者の人たちを支援していたのですが、地元に密着した活動をしていました。身体障害者の人たちをどのように支援していくのかということは世界のどこでも難しい問題であると感じました。私の反省として、この機関訪問では向こうの方とあまりディスカッションすることができなかったので、もっと話しておけばと少し後悔しています。

2つ目はホームステイです。ホームステイは2泊3日でしたが、とても中身の濃い2泊3日となりました。まず英語が通じないことからホームステイは始まりました。英語を話すことができる家族もいたのですが、私ともう1人のメンバーの2人が泊まったホームステイ先では英語が通じませんでした。パパやママもマレー語しか話すことができず、私たちはガイドブックで簡単なマレー語を勉強し、ジェスチャーを使ってコミュニケーションをとりました。後から私たちとは別にマレーシアに留学に来ている日本人学生と泊まることになり、その人たちに通訳してもらいなんとかコミュニケーションをとれたのですが、やはり言語は大切であると思いました。ボディランゲージももちろん重要なのですが、それにも限界があり、深い交流を持つためには言語が必要であると思いました。

またホームステイ中たまたま、パパとママの娘さんが2人帰省していて、彼女たちとは英語で日本のことやマレーシアのことについて話すことができました。2人とも日本のことが好きで「この漫画知ってる?」とか「これって日本語でなんて言うの?」とたくさん質問されました。日本にとても興味を持ってくれていたので話していてとても楽しかったです。私もマレー語を教えてもらったり、マレーシアのお年玉をもらったり、貴重な体験ができました。ママや娘さんたちが作ってくれた料理もとてもおいしく、どの国でも一番おいしいのは家庭の味なんだなあとしみじみ思いました。本当にお世話になりました。

3つ目は約2週間のKLIUCという大学での研修です。ここでは色々な授業を受けたり、現地の学生と交流したり、最後にはプレゼンテーションをして卒業という流れでした。滞在したのは大学の寮で、本当にその大学に入れ込んだ2週間でした。

まず授業ですが、もちろん全て英語で行われ、リスニング力のない私にとっては聞き取ることで精一杯でした。わからない単語も多く、その都度調べてはメモをとっての繰り返しでした。授業内容としてはマレーシアの文化、マレー語、マーケティング、プレゼンテーションスキルで様々なジャンルに分かれていました。特におもしろかった授業はマーケティングの授業で、「マレーシアにどのような商品を売り込むか」というテーマでグループに分かれて考えました。売り込むときにはマレーシアの文化などももちろん考慮して、プロモーションの方法まで考えました。一番深く考えなければならないのは宗教のことでした。日本では当たり前のことがマレーシアでは当たり前ではない。そのことを頭に置いて考えなければなりませんでした。そして最終的に私たちのグループではたこ焼き器を売り込むことにしました。その理由として、たこ焼きは水と卵とたこ焼き粉で作ることができ、食に関する宗教の問題もクリアすることができました。また、マレーシアでは家族や友達との時間を大切にし、食事もみんなでとるということを聞いたのでみんなで楽しめるたこ焼きが最適ではないかということでたこ焼き器になりました。この授業では時間の関係上マーケティングの入門レベルのことしかできなかったのですが、今後より拡大していく海外の市場へ日本からものを売り込むためには現地の文化や生活の実態などを考慮しなければ、ものが売れることはほとんどないでしょう。多くの民族が住むマレーシアを例にとって、どんな製品をどのように売り込むかを考えたこの授業には大きな意味があったように思えます。

また、この大学ではたくさんの友達ができ、その中には親友と言えるぐらい友達もいました。彼らと出会ったのは大学生活2日目でしたが、彼らは私たちが帰るまでとてもお世話をしてくれました。夕食へ行ったり、買い物、サッカーやバスケをしたり、色々な場所へ連れて行ってくれました。彼らのホスピタリティ精神には本当に驚き、なぜこんなにも私たちをもてなしてくれるのか疑問に思ったぐらいです。しかし完全に私たちをお客様というような扱いをするのではなく、仲の良い友達として接してくれました。これも様々な民族が住むマレーシアだからこそ自然と私たちを受け入れてくれたのかもしれません。

彼らから学ぶことも多く、どこか日本人学生にはない陽気さとエネルギッシュさを感じることがありました。彼らと遊んだ次の日、私たちは授業の疲れと前日の疲れがあるのに、彼は「今日も夜遊ぼうよ!」と全く疲れを見せませんでした。遊びに対してもすごくエネルギッシュで、この勢いを私も含めて日本の学生も持つ必要があるのかもしれません。

また彼らは英語、マレー語、中国語の3ヶ国語を操り、話す相手によって言語を変えていました。私たちには英語を使っていますが、マレー系と話すときはマレー語を使い、中国系と話すときは中国語を使っています。彼ら自身も複数の言語を使いすぎて、今自分が何語を使っているか分からなくなると笑いながら話していました。また、「なぜそんなに多くの言語を話すことができるの?」と聞いてみました。すると、「英語とマレー語は必修で中国語は自分の国の言葉だから。」と中国系の友達は答えてくれました。マレーシアは多民族国家であり、単一民族の日本とは言語に関する環境が違いすぎると改めて思いました。

彼らには感謝してもしきれないほどお世話になりました。私たちが大学を出発するときも朝早くにもかかわらず、見送ってくれました。友達の1人が「Keep in touch.」と言ってくれたのにすごく感動し、今でも連絡を取り合っています。本当にありがとう。

<まとめ>

このプログラムで得たものはたくさんあります。大学では同じ年代の人たちと交流し、とても楽しかったと同時に今のままでは彼らには勝てないだろうと痛感しました。それは言語のことや彼らの物事に対する意欲です。日本に住んでいると、日本語以外の言語を話す機会はほとんどありません。日常で使う必要のない言語を学ぶというのはモチベーション的にもかなり難しいと思います。しかし一方で英語や中国語といった言語は世界で必要とされています。もちろん彼らのように3ヶ国語を話すことができれば世界で通用するというわけではありませんが、最低でも英語を話すことができなければ、世界は相手にしてくれない。また意欲という面では日本のことをもっと知り、それを日本語以外の言葉で説明できるようになる必要があると感じました。それが結果的に今後の日本の成長につながっていくのではないかと思います。

最後に3週間をともにしたLMPのメンバーに本当にありがとうと言いたいです。このメンバーからは刺激ばかりもらい、私の価値観が変わりました。確実にこのメンバーの中から世界で活躍する人が出てくると思います。こんなにも高い意識を持ったメンバーに出会えて本当によかったです。またこのような機会を与えてくださった関係者の皆様、ありがとうございました。